2027年から相続税対策が変わる?貸付用不動産の評価見直しをわかりやすく解説
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相続税対策として、アパートや賃貸マンションなどの不動産を購入する。
こうした話を聞いたことがある方は多いと思います。
「現金で持っているより、不動産にした方が相続税評価額が下がる」
「借入をしてアパートを建てれば、相続税対策になる」
「賃貸不動産を持っておけば、節税になる」
これまで、不動産を使った相続税対策では、このような考え方が広く知られてきました。
しかし、2027年以降、この考え方には見直しが必要になる可能性があります。
特に注意したいのは、相続前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産です。
今後は、相続直前に賃貸不動産を購入して評価額を下げるような対策について、これまでよりも慎重な判断が求められる可能性があります。
今回の記事では、2027年から見直しが予定されている貸付用不動産の相続税評価について、不動産会社・FPの視点からわかりやすく解説します。
※本記事は2026年8月時点の情報をもとに作成しています。個別の税務判断や税額計算については、必ず税理士などの専門家にご相談ください。
まず結論:節税目的だけで賃貸不動産を買う前に、見直しが必要な時代へ
これからは、「節税目的だけ」で賃貸不動産を買う前に、本当にその不動産を持つ意味があるのかを見直す時代になります。
理由は、早ければ2027年1月1日以降の相続や贈与から、貸付用不動産の評価ルールが変わる可能性があるためです。
特に注意が必要なのは、相続前5年以内に取得または新築した一定の貸付用不動産です。
これまでは、土地は路線価、建物は固定資産税評価額などをもとに評価されることで、実際の市場価格よりも相続税評価額が低くなるケースがありました。
しかし今後は、一定の貸付用不動産について、通常の取引価額、つまり時価に近い評価へ見直される可能性があります。
つまり、これからの相続税対策では、単に「税金が安くなるか」だけでなく、
- 本当に賃料収入が見込めるのか
- 修繕費や管理費に耐えられるのか
- 空室リスクはどの程度あるのか
- 将来、相続人が売りたいときに売れるのか
といった視点が重要になります。
不動産は、単なる「節税商品」ではありません。
これからは、経営資産として本当に優秀かどうかを見極めることが大切です。
そもそも「貸付用不動産」とは?
貸付用不動産とは、簡単にいうと、自分で住むためではなく、他人に貸して賃料収入を得ている不動産のことです。
代表的なものとしては、以下のような不動産があります。
- 賃貸マンション
- アパート
- 貸家
- 貸店舗
- 貸事務所
- 不動産小口化商品など
たとえば、自宅として住んでいるマイホームと、賃貸として人に貸しているアパートでは、相続税対策として見るべきポイントが異なります。
今回の見直しで特に問題になるのは、相続税対策として取得・新築された一定の貸付用不動産です。
なお、不動産小口化商品については、商品の契約形態や実態によって取り扱いが変わる可能性があります。対象になるかどうかは、個別に確認が必要です。
なぜ不動産が相続税対策になると言われてきたのか?
では、なぜこれまで「不動産を買うと相続税対策になる」と言われてきたのでしょうか。
理由は、市場価格と相続税評価額の間にギャップが生まれやすいからです。
たとえば、現金1億円を持っている場合、原則として相続税評価額も1億円です。
現金は、額面通りに評価されます。
一方、不動産の場合は、実際に購入した価格そのものではなく、土地は路線価、建物は固定資産税評価額などをもとに評価されることが多くあります。
そのため、物件によっては、市場価格よりも相続税評価額が大きく低くなることがあります。
この「時価」と「相続税評価額」の差を利用して、相続税の課税対象となる財産評価を下げる。
これが、これまでの不動産を使った相続税対策の基本的な考え方でした。
ただし、不動産なら何でも評価が下がるわけではありません。
立地、構造、築年数、賃貸状況、土地の形、道路付け、権利関係などによって、評価は大きく変わります。
「不動産にすれば必ず得をする」という話ではない点には注意が必要です。
2027年から何が変わるのか?ポイントは「5年以内」
今回の見直しで大きなポイントになるのが、相続前5年以内という期間です。
2027年1月1日以後の相続や贈与から、相続前5年以内に対価を伴う取引で取得した、または新築した一定の貸付用不動産について、評価方法が見直される可能性があります。
これまでのように、路線価や固定資産税評価額をベースに低く評価するのではなく、通常の取引価額に相当する金額、つまり時価に近い評価へと変更される方向です。
要するに、相続直前に賃貸不動産を購入して、評価額だけを大きく下げるような対策がやりにくくなるということです。
また、一定の場合には、取得価額などをもとにした80%相当額で評価できる方向で整理されていると言われています。
ただし、この80%相当額の具体的な適用条件や運用ルールについては、今後の通達やガイドラインを確認する必要があります。
大切なのは、今後、相続前5年以内に取得・新築した貸付用不動産については、これまでより相続税評価額が上がる可能性があるという点です。
評価額が上がれば、当然、相続税の負担にも影響する可能性があります。
なぜ国はルールを見直すのか?
背景にあるのは、過度な節税、いわゆる租税回避への対応です。
これまで一部では、相続直前に高額な不動産を購入し、市場価格と相続税評価額の差を利用して、相続税評価を大きく下げるような対策が行われていました。
制度に沿った相続対策そのものが悪いわけではありません。
しかし、あまりにも市場価格と相続税評価額の差が大きい場合、税負担の公平性という観点から問題視されるケースがあります。
実際に過去には、市場価格と路線価評価の差が大きい事例で、国税庁が例外規定を使い、路線価による評価ではなく別の評価を主張し、裁判所でも国税側の主張が認められたケースがあります。
こうした流れを受けて、どこまでなら認められるのか、どこからが否認リスクになるのかを、あらかじめルールとして明確にしようとしているわけです。
これは納税者にとっても重要です。
あとから税務署に否認されるかもしれないという不安があるよりも、最初からルールが明確になっていた方が、相続対策の予測可能性は高まります。
つまり今回の見直しは、単なる増税というだけではありません。
行き過ぎた節税を防ぐこと。
そして、納税者がルールに沿って判断しやすくすること。
この両方の意味があります。
影響を受けやすい人のチェックリスト
今回の見直しで、特に注意したいのは次のような方です。
親が最近5年以内に賃貸物件を買った・建てた
親御さんが相続税対策として、最近5年以内にアパートを建てた、賃貸マンションを購入した、という場合は確認が必要です。
今回の5年ルールに関係する可能性があります。
これから相続税対策でアパート建築やマンション購入を検討している
今後は、相続直前に慌てて賃貸不動産を購入する対策は、以前よりも慎重に考える必要があります。
「借入できるから」
「相続税評価が下がるから」
「金融機関や業者に勧められたから」
という理由だけで進めるのは危険です。
不動産小口化商品を相続対策として勧められている
不動産小口化商品は、少額から不動産に投資できる仕組みとして注目されています。
一方で、商品ごとに契約形態や実態が異なります。
今回の評価見直しの対象になるのか、節税効果がどの程度見込めるのか、出口はどうなるのか、必ず専門家に確認することが大切です。
節税効果だけを見て物件を選んでいる
これが最も注意すべきポイントです。
相続税が下がりそうだからという理由だけで、賃貸需要の弱い場所にアパートを建てる。
修繕費や空室リスクを見ずに物件を買う。
将来、相続人が売れずに困るような不動産を残してしまう。
これは、税金の問題を解決するどころか、次の世代に大きな負担を残してしまう可能性があります。
小規模宅地等の特例にも注意が必要
今回の5年ルールとは別の制度ですが、貸付事業用宅地等に関する小規模宅地等の特例にも注意が必要です。
貸付を始めてから相続までの期間が短い場合、小規模宅地等の特例が使えないケースがあります。
つまり、相続直前に不動産を買えば何とかなる、という考え方は、複数の制度面から見ても慎重に考える必要があります。
相続税対策は、直前に慌てて行うものではありません。
早い段階から、家族構成、資産状況、所有不動産、借入、将来の承継や売却まで含めて計画することが大切です。
それでも不動産相続対策は終わりではない
ここまで聞くと、
「では、不動産を使った相続税対策はもう意味がないのか」
と思う方もいるかもしれません。
結論としては、不動産相続対策が終わるわけではありません。
ルールが変わるだけで、不動産を使った相続対策のメリットがすべてなくなるわけではありません。
5年以内に取得した場合でも、一定の評価抑制効果が期待できる見通しはあります。
また、5年を超えて保有する場合には、原則として従来の評価方法が想定されます。
ただし、具体的な適用条件や起算点については、今後の情報確認が必要です。
大切なのは、直前に慌てて買うのではなく、早い段階から計画的に進めることです。
そして、不動産は現金より必ず有利、という単純な話ではありません。
不動産は、物件次第で相続対策として有効な選択肢になり得ます。
しかし、空室が続く物件、修繕費が大きい物件、将来売りにくい物件であれば、節税効果以上に大きな負担になることもあります。
これからの不動産相続対策で見るべき3つのポイント
これから不動産を使った相続税対策を考える場合、税金だけでなく、次の3つを必ず確認してください。
1. 税引き後のリアルな収益性
相続税が安くなりそう、という表面的な話だけでは不十分です。
購入時の諸費用、借入金利、固定資産税、修繕費、管理費、空室リスク、将来の大規模修繕。
これらをすべて含めたうえで、本当にお金が残るのかを確認する必要があります。
節税できても、毎年赤字が出続ける物件であれば、それは良い相続対策とは言えません。
2. 確かな賃貸需要
そのエリアで、本当に入居者がつくのか。
今だけではなく、10年後、20年後も需要があるのか。
駅距離、周辺人口、単身者需要、ファミリー需要、大学や企業、再開発、築年数、競合物件など、さまざまな要素を見て判断する必要があります。
たとえば墨田区、台東区、江東区周辺でも、駅やエリアによって賃貸需要は大きく違います。
同じ区内でも、単身向けが強い場所、ファミリー向けが強い場所、築古でも需要が残りやすい場所、競合が多く家賃が下がりやすい場所があります。
「区名」や「駅名」だけではなく、具体的な立地と需要を見ることが大切です。
3. 将来の出口戦略
相続対策として不動産を買ったとしても、その不動産を将来相続するのはお子様やご家族です。
相続人が、その物件を持ち続けたいと思えるか。
売りたいと思ったときに、適正価格で売れるか。
管理が大変すぎないか。
共有名義になって揉めないか。
修繕費が重くなりすぎないか。
空室が続いて相続人の負担にならないか。
ここまで考える必要があります。
これからの不動産相続対策では、節税効果より先に、経営資産として優秀かどうかを見極めることが大切です。
まとめ:不動産は「節税商品」から「経営資産」へ
2027年以降、貸付用不動産の相続税評価について、ルールが見直される可能性があります。
特に、相続前5年以内に取得または新築した一定の貸付用不動産については、通常の取引価額に近い評価になる可能性があります。
これにより、相続直前に賃貸不動産を購入して評価額を大きく下げるという対策は、以前より慎重に考える必要があります。
ただし、不動産を使った相続対策そのものが終わるわけではありません。
大切なのは、制度の穴を突くような発想ではなく、
- その不動産が本当に収益を生むのか
- 管理できるのか
- 相続人が引き継いで困らないのか
- 将来売りたいときに売れるのか
ここまで含めて判断することです。
これからの賃貸不動産は、節税商品ではなく、経営資産として考える必要があります。
相続税対策として不動産を検討している方。
すでに賃貸アパートやマンションを所有していて、今後の相続が不安な方。
親御さんの不動産を将来どうするか悩んでいる方。
こういった方は、早めに現状を整理しておくことをおすすめします。
墨田区、台東区、江東区周辺で、相続不動産、賃貸不動産の保有・売却・活用に迷っている方は、ぜひChapteRへご相談ください。
不動産会社として、そしてFPの視点も含めて、税理士などの専門家とも連携しながら、ご家族にとって一番良い選択を一緒に整理していきます。

FAQ
Q1. 2027年から不動産を使った相続税対策はできなくなるのですか?
いいえ、不動産を使った相続税対策そのものができなくなるわけではありません。
ただし、相続前5年以内に取得・新築した一定の貸付用不動産については、評価方法が見直される可能性があります。
そのため、相続直前に慌てて不動産を購入するような対策は、以前より慎重に考える必要があります。
Q2. 貸付用不動産とは何ですか?
貸付用不動産とは、自分で住むためではなく、他人に貸して賃料収入を得ている不動産のことです。
代表的なものとしては、賃貸マンション、アパート、貸家、貸店舗、貸事務所などがあります。
不動産小口化商品については、契約形態や実態によって取り扱いが変わる可能性があるため、個別確認が必要です。
Q3. なぜ不動産を買うと相続税対策になると言われてきたのですか?
現金は原則として額面通りに評価されますが、不動産は土地が路線価、建物が固定資産税評価額などをもとに評価されることが多くあります。
そのため、物件によっては市場価格より相続税評価額が低くなることがあります。
この評価額の差を利用して、相続税の課税対象となる財産評価を下げる考え方が、不動産を使った相続税対策です。
Q4. 相続前5年以内に買った不動産はすべて対象になりますか?
すべての不動産が対象になるわけではありません。
今回注意が必要とされているのは、相続前5年以内に対価を伴う取引で取得した、または新築した一定の貸付用不動産です。
自宅や通常のマイホームの相続とは分けて考える必要があります。
また、具体的な対象範囲や適用条件については、今後の通達やガイドラインを確認する必要があります。
Q5. 5年を超えて保有していれば安心ですか?
5年を超えて保有している場合には、原則として従来の評価方法が想定されます。
ただし、具体的な起算点や適用条件、個別事情によって判断が変わる可能性があります。
「5年を超えれば絶対に大丈夫」と単純に考えるのではなく、税理士などの専門家に確認することが大切です。
Q6. 不動産小口化商品も対象になりますか?
不動産小口化商品については、商品の仕組みや契約形態によって取り扱いが変わる可能性があります。
任意組合型、匿名組合型など、商品ごとに法的な性質も異なります。
相続税対策として不動産小口化商品を検討している場合は、節税効果だけでなく、対象になるかどうか、換金性、手数料、運用リスク、出口戦略まで確認することをおすすめします。
Q7. 相続税対策としてアパート建築を検討しています。何を確認すべきですか?
まず確認すべきなのは、税金がどのくらい下がるかだけではありません。
以下の点を確認してください。
- 本当に賃貸需要がある立地か
- 借入返済に無理がないか
- 空室が出た場合に耐えられるか
- 将来の修繕費を見込んでいるか
- 相続人がその不動産を引き継ぎたいと思えるか
- 売却したいときに売れる物件か
節税効果だけでなく、経営資産として成り立つかどうかを確認することが重要です。
Q8. 小規模宅地等の特例の3年ルールとは何ですか?
今回の5年ルールとは別の制度ですが、貸付事業用宅地等については、相続開始前の一定期間内に貸付を始めた場合、小規模宅地等の特例が使えないケースがあります。
このため、相続直前に不動産を取得・賃貸開始すれば必ず評価が下がる、というわけではありません。
相続対策は複数の制度が関係するため、早めに専門家へ確認することが大切です。
Q9. 墨田区・台東区・江東区で賃貸不動産を持っています。相談できますか?
はい、ChapteRでは墨田区・台東区・江東区周辺の不動産について、保有・売却・活用のご相談をお受けしています。
相続税の具体的な計算や申告は税理士の専門領域ですが、不動産の査定、売却可能性、賃貸需要、将来の出口戦略については、不動産会社として整理のお手伝いができます。
必要に応じて、税理士などの専門家とも連携しながら進めます。
Q10. 相続税対策で不動産を買うべきか迷っています。どう判断すればいいですか?
まずは、「税金が下がるか」だけで判断しないことです。
不動産を購入する場合は、税引き後の収益性、賃貸需要、修繕費、空室リスク、借入返済、将来の売却可能性まで含めて判断する必要があります。
相続対策として不動産を持つなら、節税商品としてではなく、長期的に家族を守る経営資産として成り立つかどうかを確認しましょう。



