【2026年9月3日施行】空き家対策は何が変わった?相続した実家がある人が知っておきたいこと
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「親の実家、いずれどうするんだろう」
そう思ったことはあっても、
「まだ親が住んでいるし、今考えなくてもいいか」
と、そのままになっている方も多いのではないでしょうか。
2026年9月3日、空き家対策に関する法律の一部が変わりました。
今回の改正について、
「また空き家への規制や罰則が厳しくなったの?」
と思う方もいるかもしれません。
ただ、今回の変更の中心はそこではありません。
ポイントは、
空き家の相談・管理・活用を支える“地域の担い手”を広げること。
そして、この動きから見えてくるのは、
「空き家になってから対応する」のではなく、「空き家になる前から相談する」
という方向性です。
今回は、2026年9月3日の改正で何が変わったのか、そして親の実家や相続予定の不動産がある方が今から考えておきたいことを、不動産実務の目線からわかりやすく解説します。
日本の空き家は約900万戸
まず、日本の空き家の現状を確認しておきましょう。
総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、日本全国の空き家数は約900万戸。
空き家率は13.8%です。
単純計算すると、住宅約7戸に1戸が空き家ということになります。
ただし、ここは誤解しないよう注意が必要です。
この約900万戸のすべてが、老朽化して放置された危険な空き家というわけではありません。
賃貸の入居者を募集している住宅や、売却中の住宅なども「空き家」の数字には含まれています。
一方で問題になっているのが、
- 親から相続したものの誰も住まない
- 売るか貸すか決めていない
- 遠方に住んでいて管理できない
- 相続人が複数いて方向性が決まらない
- とりあえずそのままにしている
といった住宅です。
不動産の現場でも、
「実家を相続したのですが、どうしたらいいでしょうか?」
という相談は珍しくありません。
そして、この問題は相続が発生した瞬間に始まるとは限りません。
親御さんが高齢者施設に入居し、実家に誰も住まなくなったことで、相続前から実質的な空き家になるケースもあります。
「空家等管理活用支援法人」とは?
今回の改正を理解するうえで出てくるのが、
「空家等管理活用支援法人」
という制度です。
名前だけを見るとかなり難しそうですが、考え方はそれほど複雑ではありません。
簡単にいうと、
自治体と連携しながら、空き家の相談・管理・活用などを支援する地域の担い手
です。
具体的には、たとえば次のような役割が考えられます。
1.相談
「実家を相続したけれど、どうすればいいかわからない」
「売る・貸す・残すのどれがいいのか判断できない」
といった所有者からの相談に対応します。
2.管理
所有者が遠方に住んでいるなど、自分で空き家を定期的に確認できない場合の管理を支援します。
3.活用
売却や賃貸だけではなく、地域の状況に応じた活用方法を考えていきます。
4.連携
相続なら司法書士や税理士、建物なら建築士、行政手続きなら自治体など、必要に応じて専門家や関係機関につなぎます。
つまり、
「空き家問題をすべて行政だけで解決するのではなく、地域の中にも相談・支援できる人を増やしていこう」
という仕組みです。
2026年9月3日から何が変わった?
今回の改正で重要なのが、空家等管理活用支援法人として指定できる対象が広がったことです。
これまでは、
- NPO法人
- 一般社団法人
- 一般財団法人
- 一定の会社
などが主な対象でした。
2026年9月3日の改正では、これに
「その他の営利を目的としない法人」
が加わりました。
これにより、商工会議所や商工会なども指定の対象になり得るようになります。
ここで大切なのは、
今回の改正=空き家所有者への新たな罰則強化
という話ではないことです。
むしろ、
空き家問題に関われる地域のプレイヤーを増やす
という意味合いの強い変更です。
なぜ商工会議所や地域団体まで関わるのか?
「空き家なら不動産会社が対応すればいいのでは?」
と思うかもしれません。
確かに、通常の不動産市場で問題なく売買できる住宅であれば、不動産会社が仲介して売却することで解決できるケースも多いです。
しかし、すべての空き家がそうではありません。
例えば、
- 相続人が何人もいる
- 所有者が遠方にいる
- 再建築が難しい
- 建物が老朽化している
- 売却価格がほとんどつかない
- 空き店舗として地域利用できる可能性がある
など、事情は一軒一軒違います。
特に難しいのは、
一般的な不動産流通に乗りにくい物件
です。
こうした物件では、不動産だけでなく、
行政
不動産
建築
相続・税務
地域・商業
など、複数の分野が一緒に考えた方が解決しやすい場合があります。
例えば、空き店舗をこれから事業を始めたい人へつなげる。
住宅を地域交流や福祉の拠点として使う。
こうした活用まで考えれば、商工会議所や商工会などが関われる意味も見えてきます。
空き家は「なってから」ではなく「なる前」に考える
では、今回の法改正によって、実家を持つ私たちは何か手続きをしなければならないのでしょうか。
今回の改正によって、一般の住宅所有者に突然新しい申請義務が増えるわけではありません。
ただし、空き家対策全体の方向性として注目したいのが、
問題が大きくなってから対応するのではなく、早い段階で相談・管理・活用につなげていく
という考え方です。
これは実家を持つ方にとっても非常に重要です。
空き家になって何年も経ってしまうと、
- 建物が傷む
- 雑草や庭木が伸びる
- 雨漏りなどが発生する
- 管理コストが増える
- 売却や賃貸の選択肢が減る
可能性があります。
「そのうち考えよう」
と思っているうちに、状況だけが変わってしまうこともあります。
実家がある人が今確認したい4つ
今すぐ売る・貸すなどの結論を出す必要はありません。
ただ、親御さんが元気なうちに、次の4つについて一度家族で話してみることをおすすめします。
① 誰が相続する?
兄弟姉妹がいる場合、
「長男が相続するだろう」
「なんとなく兄弟共有になるだろう」
と曖昧になっているケースがあります。
相続後に初めて話し合うより、事前に家族の考えを共有しておく方が動きやすくなります。
② 誰か住む?
相続後、
- 子どもが住む
- 孫が将来使う
- 誰も住まない
では、その後の選択肢が大きく変わります。
「誰か住むと思っていたけれど、実際には誰も住まなかった」
というケースもあります。
③ 売る?貸す?残す?
誰も住まない場合、
売却するのか
賃貸するのか
家族で残すのか
を考えます。
不動産は立地、築年数、接道条件、建物状態などによって適した選択肢が異なるため、一概には言えません。
将来の選択肢を知る意味でも、早い段階で査定や活用可能性だけ確認しておくのも一つの方法です。
④ それまで誰が管理する?
これは意外と見落としがちなポイントです。
例えば親御さんが施設へ入った場合、相続が発生する前から実家が空き家になる可能性があります。
そのとき、
- 郵便物は誰が確認する?
- 庭木は誰が手入れする?
- 建物に異常がないか誰が見る?
- 台風や大雨の後は誰が確認する?
といった管理の問題が出てきます。
「相続した後どうするか」だけでなく、「それまでどう管理するか」も重要です。
不動産会社の役割も「売る・貸す」だけではない
今回の改正を見ていて、不動産会社の役割についても考えさせられます。
従来、不動産会社の仕事というと、
「売りたい人と買いたい人をつなぐ」
「貸したい人と借りたい人をつなぐ」
というイメージが強かったと思います。
もちろん、それは今後も大切な仕事です。
しかし、空き家問題が増えていけば、
単純に売買・賃貸するだけでは解決できない不動産
も増えていきます。
そうした場合には、
行政や建築士、司法書士、税理士、地域団体などと連携しながら、
その不動産をどう残すのか、どう活用するのか
まで一緒に考える役割が必要になるのではないでしょうか。
不動産は単なる資産ではなく、街を構成する一つ一つの場所でもあります。
家を守ることは、街を守ることにもつながる。
今回の改正は、そんなことを改めて考えるきっかけになるように思います。
まとめ|まずは家族で一度、実家のことを話してみよう
2026年9月3日の改正では、空家等管理活用支援法人として指定できる対象が広がり、商工会議所や商工会なども対象になり得るようになりました。
今回のポイントは、
「空き家への罰則がさらに厳しくなった」ことではなく、空き家問題を地域で支える担い手が広がったこと
です。
そして、私たち住宅所有者にとって大切なのは、
空き家になってから考えるのではなく、なる前から考えておくこと。
まずは、
- 誰が相続する?
- 誰か住む?
- 売る?貸す?残す?
- それまで誰が管理する?
この4つについて、家族で話してみてはいかがでしょうか。
今すぐ答えを出す必要はありません。
ただ、話を始めておくだけでも、いざというときに取れる選択肢は変わってきます。
よくある質問(FAQ)
Q1.今回の改正で、空き家所有者への罰則が厳しくなったのですか?
今回の2026年9月3日の変更の中心は、空家等管理活用支援法人として指定できる法人の対象拡大です。所有者への新たな罰則強化が今回の主な改正内容というわけではありません。
Q2.「空家等管理活用支援法人」は誰でも利用できますか?
具体的な支援内容や相談方法は、自治体や指定されている支援法人によって異なります。お住まいの自治体や、空き家が所在する自治体の情報を確認する必要があります。
Q3.親がまだ実家に住んでいても相談していいのでしょうか?
相続後まで待つ必要はありません。将来誰も住まなくなる可能性があるのであれば、家族内で方向性を話したり、不動産の価値や活用可能性を確認したりすることはできます。
Q4.実家は売却と賃貸、どちらがいいですか?
立地、建物状態、住宅ローンや相続関係、管理負担などによって変わります。「空き家だから売却」と一概には言えません。複数の選択肢を比較したうえで判断することが大切です。
Q5.相続前に不動産会社へ相談しても問題ありませんか?
問題ありません。「今すぐ売る」という相談でなくても、現在の価値や将来の売却可能性、賃貸できるか、建物を残す場合の注意点などを事前に確認しておくことはできます。
動画でも解説しています
今回の2026年9月3日の空き家対策の変更については、「何が変わったのか」「実家がある人は何を確認すればいいのか」を動画でもわかりやすく解説しています。
文章より動画の方が理解しやすい方は、ぜひ本編動画もあわせてご覧ください。



