親の実家は「とりあえず残す」で大丈夫?空き家の維持費と考えておきたい3つの選択肢
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親の実家について、
「今すぐ売る必要もないし、とりあえず残しておこう」
と考えている方は少なくありません。
自分が育った家には思い出がありますし、「いつか家族の誰かが使うかもしれない」「一度売ったら戻ってこない」と考えるのは自然なことです。
ただし、ひとつ知っておきたいのが、誰も住んでいない家でも、お金はかかり続けるということです。
「残す」という選択そのものが悪いわけではありません。
問題なのは、どのくらいお金がかかるのか分からないまま、何となく残し続けてしまうことです。
今回は「親の実家、どうする?」シリーズ第1回として、実家を残す場合にかかる維持費と、判断する前に考えておきたいポイントを整理します。
なぜ親の実家を「とりあえず残す」ことが多いのか
親の実家をすぐに手放せない理由は、お金だけではありません。
たとえば、
- 自分が育った家なので思い入れがある
- 将来、子どもや家族が使うかもしれない
- 親族から反対されそう
- 売る・貸すなど、何から始めればいいのか分からない
といった事情があります。
特に相続直後などは、気持ちの整理がつかないまま不動産の処分まで決めるのは難しいものです。
そのため、
「今は決めずに、そのままにしておこう」
という判断になること自体は珍しくありません。
ただ、判断を先送りしている間も、家の維持コストは発生しています。
誰も住んでいなくてもかかる4つの維持費
空き家になると生活費はなくなりますが、住宅そのものにかかる費用までゼロになるわけではありません。
代表的なものは次の4つです。
1.固定資産税・都市計画税
誰も住んでいなくても、不動産を所有している限り税負担は続きます。
「使っていない家だから税金がかからない」というわけではありません。
2.保険
建物を所有し続けるのであれば、火災などのリスクについてどう備えるかも考える必要があります。
空き家の場合は建物の利用状況によって保険の取り扱いも変わることがあるため、契約内容を確認しておきましょう。
3.電気・水道など
定期的な清掃や点検をするため、電気や水道を完全には止めずに管理するケースもあります。
その場合、使用量が少なくても基本料金などが発生します。
4.管理にかかる費用
庭の草刈り、清掃、建物の見回りなども必要です。
実家が遠方なら、現地へ行く交通費や、管理を外部へ依頼する費用が発生することもあります。
一つひとつは大きくなくても、毎年積み重なると無視できない金額になります。
最も見落としやすいのが「修繕費」
そして、実家を残すときに特に注意したいのが修繕費です。
家は、誰も住んでいなければ劣化しないわけではありません。
むしろ日常的に使われず、異変にも気付きにくいため、
- 屋根や外壁の劣化
- 雨漏り
- シロアリ被害
- 給排水設備などの故障
といった問題が進行していることがあります。
住んでいる家なら、
「最近、水の流れがおかしい」
「壁にシミができた」
など比較的早く気付けます。
空き家の場合は、数か月ぶりに見に行って初めて異常を発見することもあります。
その結果、小規模な補修で済んだはずのものが、大きな工事になってしまうケースも考えられます。
つまり、実家を残すかどうかを判断するときは、
「今、年間いくらかかっているか」だけでなく、「これから5年・10年で何が必要になるか」
まで考える必要があります。
年間の維持費ではなく「5年間の総額」で考えてみる
ここで、分かりやすい仮定例を考えてみましょう。
仮に、税金や管理費などを含めた維持費が年間30万円だったとします。
1年だけなら、
「月にすると2万5,000円程度だから、残しておいてもいいかな」
と感じるかもしれません。
しかし、
30万円 × 5年間 = 150万円
です。
さらに5年間の途中で、屋根などに100万円の修繕が必要になったとすると、
5年間の支出は合計250万円
になります。
もちろん、これは平均的な維持費を示す数字ではなく、長期間保有した場合の考え方を分かりやすくするための仮定例です。
実際の費用は、建物の規模・築年数・状態・地域などによって大きく異なります。
重要なのは、
「年間30万円」ではなく、「この家をあと何年持つ予定なのか」で考えること。
5年、10年という期間に直すと、「とりあえず残す」という判断の重みが見えてきます。
維持にお金をかけても、その分だけ家の価値が上がるとは限らない
もう一つ忘れてはいけないのが、不動産の資産価値です。
例えば5年間で200万円、300万円と維持や修繕にお金を使ったとしても、その金額がそのまま売却価格に上乗せされるとは限りません。
もちろん、不動産価格は築年数だけで決まるものではありません。
土地の価値、立地、建物状態、その時の不動産市況など、さまざまな条件によって変わります。
だからこそ確認したいのが、
「これから維持するためにいくら必要か」
と、
「現在、そして将来この不動産にはどのくらいの価値がありそうか」
という2つの数字です。
維持費を払ってでも残す意味があるのか。
それとも、まだ状態が良いうちに別の選択をした方がいいのか。
ここまで見て初めて判断できます。
親の実家には「残す・売る・貸す」の3つの選択肢がある
親の実家について、大きく考えられる選択肢は3つです。
1.残す
将来自分や家族が住む予定があるのであれば、残すことには十分意味があります。
ただし、
- 誰が管理するのか
- いつまで保有するのか
- 維持費を誰が負担するのか
- 将来どのように利用するのか
まで具体的にしておくことが重要です。
「いつか使うかも」だけで何年も保有する場合は、一度数字を出してみることをおすすめします。
2.売る
今後利用する予定がないのであれば、売却して現金化する方法があります。
売却後は税金や建物管理、将来の修繕などの負担から離れられることも大きなメリットです。
ただ、一度売却すればその不動産は手元からなくなるため、家族の気持ちも含めて判断する必要があります。
3.貸す
立地や建物の状態によっては、賃貸住宅として活用する方法もあります。
ただし、
「家賃が入るから貸した方が得」とは限りません。
貸すための修繕費や設備交換、管理費、空室なども考える必要があります。
「とりあえず残す」前に、まず現在地を整理しよう
親の実家には、家族の思い出があります。
ですから、すべてを損得だけで判断する必要はありません。
ただし、
感情だけで判断する必要もありません。
まず、
「年間いくらかかっているのか」
「あと5年間残したらいくらになるのか」
「近いうちに修繕が必要なのか」
「今売ったらどのくらいの価値があるのか」
を整理する。
その数字を見た上で、
「それでも残したい」
という結論なら、それは十分納得できる選択だと思います。
大切なのは「何となくそのまま」ではなく、状況を知ったうえで選ぶことです。
ChapteRでは、墨田区・江東区・台東区を中心に、親御さんの実家や相続した不動産について、残す・売る・貸すそれぞれの選択肢を比較しながらご相談いただけます。
「まだ売ると決めていない」という段階でも問題ありません。
まず今の価値や、貸した場合の収支などを整理するところから考えてみてください。
動画でも解説しています
今回ご紹介した「親の実家をとりあえず残す場合の維持費」については、YouTubeでも動画で詳しく解説しています。
固定資産税や管理費、修繕費といった見えにくいコストに加えて、
「5年間残したら、実際どのくらいのお金がかかるのか?」
「維持費を払い続けても、その分だけ資産価値は上がるのか?」
「残す・売る・貸すをどう比較すればいいのか?」
といったポイントを、図や具体例を使いながら分かりやすく整理しています。
文章だけでは少しイメージしづらかった方や、ご家族と一緒に実家の今後を考えたい方は、ぜひ動画もあわせてご覧ください。
「親の実家、どうする?」シリーズ第1回
『とりあえず残す』前に知っておきたい維持費の話
また、このシリーズでは今後、
第2回:実家を売る?貸す?判断基準
第3回:相続登記が義務化。実家を相続したら何をする?
第4回:墨田区で使える空き家の補助金・支援制度
第5回:仲介と買取、どちらで売る?
というテーマも順番に解説しています。
親の実家について「まだ何も決めていない」という方こそ、シリーズを通して見ていただくと、何から整理すればいいのかが分かりやすくなると思います。
よくある質問(FAQ)
Q1.誰も住んでいない実家でも固定資産税はかかりますか?
はい。原則として、不動産を所有している限り固定資産税などの負担は続きます。空き家だから税金がゼロになるわけではありません。
Q2.親の実家は、とりあえず数年間残しておいても問題ありませんか?
残すこと自体に問題があるわけではありません。ただし、維持費・管理・建物劣化・将来の修繕などを考えずに長期間放置するのはおすすめできません。「何年間残すのか」を決め、総費用を確認しておくと判断しやすくなります。
Q3.空き家は住んでいる家より傷みやすいのでしょうか?
日常的に建物の異変を確認する人がいないため、不具合の発見が遅れる可能性があります。定期的な換気・清掃・点検など、適切な管理が重要です。
Q4.売るか貸すか迷っている段階でも不動産会社に相談できますか?
もちろん可能です。むしろ売却価格と想定賃料、貸すために必要な修繕費などを同時に確認すると、比較しやすくなります。
Q5.実家を残すかどうか判断するとき、一番最初に何をすればいいですか?
まずは、現在の建物状態・年間維持費・現在の不動産価値の3つを把握するのがおすすめです。そのうえで、ご家族が将来利用する予定があるのかを整理すると、「残す・売る・貸す」の方向性が見えやすくなります。
次回|親の実家、売る?貸す?
第2回では、
「家賃が入るなら貸した方が得?」
という疑問について、
- 将来自分たちで使う予定
- 貸すために必要な修繕費
- 実際の年間手残り
- 今売った場合の価格
などを比較しながら、「売る・貸す」の判断基準を解説します。



