2026年は1970年代後半に似ている?インフレ・金利上昇期の不動産判断

公開日:2026年7月22日|カテゴリ:売買仲介・市場分析・ライフプラン
「物価も上がって、金利も上がってきた。なんだか1970年代のオイルショックの頃に似ていない?」——最近、そんな声を耳にすることが増えました。エネルギー価格の上昇、円の購買力の低下、日銀の利上げ。たしかに似ている部分はあります。
ただ、過去と同じ未来が来るとは限りません。この記事では、1970年代後半との共通点と決定的な違いを整理しながら、「今、家を買っていいのか」「今、売っていいのか」を考えるときに何を見ればいいかをお伝えします。
この記事の結論
- ✅ 物価上昇・エネルギー価格の上昇・金利の正常化という構造は、1970年代後半〜80年代前半と似ている部分がある
- ✅ ただし人口減少・空き家増加・建築費高騰・AI関連投資など、当時になかった要素もある。同じ未来が来ると決めつけないことが大切
- ✅ 大切なのは値上がり・値下がりを当てることではなく、「金利が上がっても無理なく返せるか」「将来も売れる家か」を自分の基準で判断すること
詳しい背景と、買う人・売る人それぞれが確認すべきポイントを順番に解説します。
1970年代後半の日本で何が起きたか|オイルショックと物価上昇
1970年代の日本経済に大きな影響を与えたのがオイルショックです。原油価格の上昇によって、ガソリン代・電気代・輸送費・原材料費など、生活や企業活動に関わる幅広いコストが上昇しました。日本はエネルギー資源の多くを輸入に頼っているため、原油価格が上がると企業のコストも物流費も商品価格も上がりやすく、家計にも影響が広がりやすい構造があります。
これは、今の日本にも似ている部分があります。エネルギー価格・円安・人手不足・物流コスト・建築費・リフォーム費用など、さまざまなコストが上昇しています。スーパーの商品も、電気代も、ガソリンも、マンションの管理費も上がりやすくなっている——生活費だけでなく、住まいに関わる費用も上がっているのが今の状況です。
一方で、当時と今とで大きく違う点もあります。1970年代後半は金利がかなり高い時代でした。今の日本は金利が上がってきているとはいえ、歴史的に見ればまだ低い水準です。物価は上がっているけれど、金利は過去の高金利時代と同じではない——そのバランスの中にいるということです。
インフレは不動産に本当に「強い」のか|誤解に注意
インフレとは、物の値段が上がることであると同時に、お金の価値が下がっていくこととも言えます。例えば100円で買えたものが120円出さないと買えなくなったとき、商品の質が急に良くなったわけではなく、同じ100円で買える量が減った、つまりお金の購買力が下がったということです。
インフレの時代、現金の実質的な価値は目減りしていく一方で、不動産や株式などの資産はインフレに合わせて値上がりすることがあります。そのため「インフレは不動産が強い」と言われることがあります。
ただし、ここには注意が必要です。すべての不動産が同じように強いわけではありません。
インフレになると建築費や人件費も上がりやすくなるため、新築マンションや新築戸建ての価格はどうしても上がりやすくなります。実際、東京23区の新築マンション・新築戸建て価格はかなり高くなっています。では中古はどうかというと、これは一様ではありません。不動産には個別性があるからです。マンションであれば管理費・修繕積立金・駐車場、戸建てであれば外壁・屋根・給湯設備・シロアリ対策——こうした維持費もインフレで上がっていきます。つまり、価格が上がる不動産もあれば、維持費だけが上がって価値が目減りする不動産もあるのです。
💡 プロのチェック法:価格が上がっているかどうかだけでなく、「将来も住みたい人がいるか」「住宅ローンを使って買える価格か」「管理・修繕の状態に問題はないか」「数年後に売るとき次の買い手が見つかるか」まで見ることが大切です。
金利上昇が住宅ローンと売却に与える影響
物価が上がりすぎると、日銀は消費や投資の過熱を抑えるために金利を上げます。金利が上がると、当然ながら住宅ローンにも影響します。同じ年収でも、金利が低いときより高いときのほうが、借りられる金額は少なくなります。買える予算が下がるということは、その物件を希望価格で買える人が少なくなるということでもあり、これは売る人にも関係のある話です。
ただし、金利が上がったからといってすぐに不動産価格が下がるわけではありません。市場への影響は、少し遅れて出ることが多いです。最初に起きるのは価格の急落ではなく、問い合わせが減る、内覧が減る、価格交渉が増える、売却期間が長くなる——こうした変化です。そのあと、売れ残る物件が増えてくると、価格を下げる物件も出てきます。
だからこそ売り手にとって大切なのは、相場の天井を当てようとすることではなく、「いつまでに売りたいか」「いくらなら納得できるか」「買い替え後どうするか」「残債や税金はどうか」を先に整理しておくことです。
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1970年代と今の決定的な違い|人口構造とAI投資
1970年代後半〜80年代の日本は、人口が増え、経済も成長し、住宅需要も強い時代でした。今の日本は人口減少が進み、空き家も増えています。つまり、当時のように「どのエリアの不動産でも需要が強い」という時代ではありません。東京23区の駅近・生活利便性の高いエリアは需要が残りやすい一方、人口が減っている地域や駅から遠い物件、管理状態が悪い物件は、インフレだからといって簡単に価格が上がるとは限りません。今後は、上がりやすい不動産と上がりにくい不動産の二極化が進んでいく可能性があります。
もうひとつの大きな違いが、AI関連投資です。半導体・データセンター・光ファイバー・冷却設備など、世界中で巨額の投資が行われており、これは不動産にも関係があります。データセンターには大きな土地・強い電力インフラ・通信環境が必要で、一部の地域や産業用不動産の価値が変わる可能性があります。また、査定・広告・マッチング・住宅ローンの契約手続きなど、AIによって効率化される不動産業務も増えています。
ただし、「AIが本物の技術であること」と「AI関連の投資がすべて成功すること」は別の話です。かつてのインターネットも社会を大きく変えましたが、当時生まれた会社がすべて成功したわけではありません。新しいテーマに資金が集まりすぎると、一時的に価格が過熱することもあります。「みんなが買っているから」「価格が上がっているから」ではなく、その不動産に本当に価値があるかを見極める視点が必要です。
これから「買う人」「売る人」が確認すべきこと
物価や金利のニュースだけで焦らないことが大切です。「物価が上がるから買わなきゃ」「金利が上がるから今すぐ買わなきゃ」「価格が下がるかもしれないから待とう」——どれも極端な判断です。自分たちの基準を持って考えることが大切です。
これから買う人が確認したい3つのポイント
- 金利が上がっても返せるか:変動金利で借りる場合、今の返済額だけでなく、金利が上がった場合の返済額も見ておく
- 将来も売れる家・貸せる家か:家族構成や転職、親の介護など、住み替えが必要になったときに困らない家かどうか
- 維持費まで含めて無理がないか:金利だけでなく、管理費・修繕積立金・固定資産税・火災保険まで含めて考える
特に子育て世代の場合は、教育費や働き方、保育園・小学校の通いやすさまで含めて考える必要があります。「借りられる金額」ではなく「無理なく返せる金額」で考えることが大切です。
これから売る人が考えたいこと
インフレで不動産価格が上がっていると、「もう少し待てばもっと高く売れるかも」と思うかもしれません。可能性がゼロとは言いませんが、保有を続けることで発生する固定資産税・管理費・修繕積立金・老朽化のコストもあります。金利が上がれば買主の借入額が下がる可能性もあり、そうなると希望価格で買える人が少なくなることも考えられます。売り手にとって大切なのは相場の最高値を当てることではなく、「なぜ売るか」「いつまでに売るか」「いくらで売れればいいか」「売却後の住まいをどうするか」を整理しておくことです。
まとめ|過去と同じ未来ではなく、複数のシナリオで考える
- 2026年現在の日本は、エネルギー価格の上昇・物価高・円の購買力低下・金利の正常化という点で、1970年代後半〜80年代前半と似ている部分がある
- 一方で、人口減少・空き家増加・建築費高騰・AI関連投資など、当時になかった要素もある
- 金利が上がったら/下がったら、不動産価格が上がったら/下がったら、それぞれのシナリオで自分たちがどう動くかを考えておく
- 買う人は「相場の最高値」より金利上昇への耐性を、売る人は「将来売れる物件かどうか」を確認することが大切
投資商品ではなく、家族の暮らしそのものだからこそ、市場に振り回されるのではなく、自分たちが納得できる判断をしていただきたいと考えています。「今の資金計画で無理がないか気になる」という方は、一度ライフプランで数字を確かめてみませんか。
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※本記事は2026年7月時点の情報・見解に基づいています。金利・物価・不動産市場の動向に関する内容は一般的な情報提供であり、将来の価格変動を保証するものではありません。実際の判断にあたっては最新情報をご確認のうえ、専門家や当社までご相談ください。



